第4話「完全なる敗北。そこに現れた『お金持ち』」

途中からの方は、はじめからどうぞ♪
⇒ プロローグ「事務所はスタバ、社員は妻、職業はオーナー」

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現役で臨んだ大学受験は当然の如く惨敗。
1浪して何とか関西の国立大学に進学。

 

アラシにとって、
将来の「何か」を見つけるための
大学生活が始まった。

 

実家を離れ、
初めての一人暮らし。

 

とりあえずは、
意気込んでいた通り、

初日からサッカー部に入部。

 

中学、高校と、
サッカーにだけは自信を持てていた。

サッカーだけは真剣に打ち込んでいた。

 

サッカーこそが、当時の人生全てだった。

 

そんなサッカーだったが、

大学サッカー部に入部し、
完全な挫折をすることになった。

 

今までは学力では周りに負けていたが、
サッカーではなんとか権威を持ち続けていた。

 

しかし、そのサッカーでも
通用できない世界だったのだ。

 

まず、体が思うように動かない。

それもそのはず。

 

アラシの高校では
事実上、2年生の夏で部活を引退。

 

進学校という事もあり、
部活の引退が早いのだ。

 

さらにアラシは、
1浪している。

 

となると、
丸2年以上も運動をしてない。

体は衰えている。

 

加えてサッカー勘も、
かなり鈍っているのを実感した。

 

「クソ!
 なんでこんな簡単なトラップが出来ない!

 てか、体力が。。。

 ハア、ハア、ハア、

 もう、、、こんなバテてるのか。。。

 俺が、
 この俺が、、、??」

 

こんな無様な姿を認めたくない。

認めるわけにはいかない。

 

確かに体の衰えはあった。

 

しかし実際は、
アラシの体がピークであっても、
通用しない世界であった。

 

これは当然といえば当然。

 

その大学は国立といえども、
全国から学生が集まっている。

 

学力で名門でも
サッカーの上手い人間は腐るほどいるのだ。

 

そこでアラシは初めて、

『補欠』

という体験をすることになる。

 

後にアラシは
3年生の自分たちの代での新チームで
初めてレギュラーになったのだが、

4年生の時に、
入部したばかりの1年生にポジションを奪われ、

補欠に舞い戻り。

 

結局、引退する最後まで
レギュラーにはなれなかったのだ。

 

当初、全く予想していなかった現実。

 

でも

「これで良かったんだ」と

アラシは思った。

 

サッカーという唯一の特技。

でもそれも
所詮は狭い世界での特技。

 

この特技のせいで、
いろいろな事から逃げてきたのだから。

 

自分に何もなくなって初めて、
ようやく、
人生をイチから考えるようになったのだ。

 

しかしアラシは、

たとえ補欠でも
4年間みっちり部活をやり続けた。

 

地元では神童であり、

中学高校では
エリート軍団の中でも

勝てる場所を見つけては輝き。

 

常に、
表舞台で活躍していたアラシが、

4年間も『裏方』という

初めての世界を全うしたのだ。

 

アラシにとっても
とてつもない経験になったのは事実。

 

リーダーではなく、

末端の役割、
リーダー補佐、
ナンバー2の役割を知った。

 

リーダー(キャプテン)という
権力者の裏には、

それを支える
たくさんの『役割』を持つ
人達で構成されている。

 

リーダーだけやっていると、
彼らの存在を知らずに
過ごすこともあったであろう。

 

それを自らの体験で、
アラシは知ることができた。

大きな体験だ。

 

さらにアラシは、
もう一つ別の世界で、
『裏方』として徹していた。

 

実はアラシは

大学時代に、
ある初めての体験をしていた。

 

それは、アルバイト。

 

アラシにとって、
初めて『仕事(ビジネス)』を
体験したのだった。

 

そこでの“出会い”が、

後のアラシの人生を
大きく変えるのだっった。

 

アラシが選んだバイトは、
キャバクラの黒服スタッフ。

 

これは知人の紹介だったのだが、

水商売は時給が高いのと、
時間帯が夜なので、
サッカーの練習には支障が無い。
※体力的にはかなり支障あったが

 

お店の黒服として、
裏方として、
アラシは一生懸命働いた。

 

結局4年間、
同じ店で働き続けた。

 

昼はサッカー、
夜は水商売という

ハードな4年間を過ごした。

 

ここでアラシは、

『ビジネス』

という世界を知ることとなる。

 

仕事が楽しかった。

 

グラスを洗う。
ドリンクを作る。
お酒を運ぶ。
お客さんと話す。
お給料をもらう。

全てが新鮮だった。

 

サッカー以外の生活を
初めてしたような気がした。

 

そしてアラシは
その中で出会ったのだ。

『お金持ち』に。

 

キャバクラに来るような
お客さんは様々だが、

売上に大きく貢献してくれるのは、
当然、『お金持ち』だ。

 

頻繁にお店にも来てくれる。

 

そこでアラシは、
色々なお金持ちを見る事になる。

 

アラシにとっては、
初めての『お金持ちの大人』だ。

 

学生時代の友達は、
あくまでもお金持ちの息子。

実際に自分が
稼いでるわけではない。

 

キャバクラに来るお金持ちは、
紛れも無い
『お金持ちの大人』だった。

 

やはり多くが、
会社の社長、役員、
歯医者、
といった人達だった。

 

学生時代のアラシには、
どんな人がお金持ちなのか、

イマイチ、
イメージが出来ていなかった。

 

芸能人やスポーツ選手のように、
華やかな世界の人達が

お金を持っているのは、
なんとなくイメージが出来る。

 

でも、
現実世界は?

 

一流大学の医学部からの医者。
一流大学の法学部からの弁護士。

 

そんな程度しか、
お金持ちのイメージはなかった。

 

そこで初めて、

『社長』

という人達と、
話をするようになった。

 

中でも、
このお店の最大の常連。

電気会社の『Y』社長。

 

アラシは『Y』社長によって、
『社長』という世界を知る事となる。

 

お金持ちは、
心の懐も広い。

 

『Y』社長はお客さんなのに、
お店全体に気を使ってくれて、

アラシの名前までも
覚えてくれるようになった。

 

ア「あ、Yさん、
  いらっしゃいませ!」

 

Y「おー、アラシ!
 今日、出勤か!」

 

平凡な家庭で育った
アラシにとって、

お金持ちのお金の使い方は、
『異常』だった。

 

数万円?
数十万円?

のお酒を注文。

 

その『Y』社長に付く、
女の子のドリンクも注文。

 

Y「おう、お前ら!
  みんな飲め飲め!」

 

漫画やドラマで見たような
光景だった。

 

そして、
『Y』社長とアラシには、
お決まりのパターンが出来上がった。

 

Y「おう!アラシ!
  飯食ったか?」

 

ア「おはようございます!
 いえ、食べてません!」

 

Y「おし!じゃあ、
  これでなんか頼め!」

 

『Y』社長が出前を注文して、
テーブルにいっぱいのご馳走が並べられる。

 

そして、付いてる女の子と、
その時はアラシも呼んでくれて、

みんなでご飯を食べるのだ。

 

「こ、これが、お金持ちの
 ご飯の食べ方か。。。

 一人一品ではなく、
 何品も頼んで、みんなでつつくという。。。」

 

元々、女の子達は
そんなに食べないので、

アラシは残飯処理係に徹した。

 

小さい頃から両親に

「食べ物は残すな」

と教育されていたので。

 

Y「おう!アラシ!
  お前、細いのによく食べるな~!」

 

ア「はい!サッカーで鍛えてるので!」

 

もりもり食べるアラシを
『Y』社長は気に入ってくれた。

 

そして毎回、お店に来ると、

Y「おう!アラシ!
  飯食ったか?」

 

ア「おはようございます!
  いえ、食べてません!」

 

Y「おし!じゃあ、
  これでなんか頼め!」

 

お決まりのパターンとなった。

 

アラシもそれを狙って、
出勤の時には
何も食べないようにしていた。

 

『Y』社長はそれもお見通し。

 

Y「おい!アラシ!
  お前、俺にオゴらせるために
  いつも、飯抜いてきてるだろ!」

 

ア「バレましたか!」

 

Y「ワハハハハ!」

 

お金持ちは、
心の懐も広い。

本当にそう、実感した。

 

「これが『社長』か。。。」

 

アラシがずっと目指していた
『お金持ち』。

 

漠然としていただけで、
イメージが出来なかった
『お金持ち』。

 

それがついに、
アラシの前に現れたのだ。

 

『社長』という
『お金持ち』が。

 

だが、これだけでは無かった。

 

『社長』を超える
『社長』がいることを。。。

 

次回、
もう1人の『社長』が
アラシの前に現れた。

 

第4話 完

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子供の時というのは、
漠然と夢を設定できますが

大人になるにつれて、
明確にできない夢を設定するのが
難しくなります。

それはただ単に、知らないだけでしょう。

多くの人と出会い、多くの人の話を聞くと、
職業だけでもたくさんある事を知ります。

そして、それを知る事ができたら、
イメージができるようになり、
明確な目標設定が出来るようになります。

⇒ 第5話「初めて起業家と出会い、起業家を目指す。」へ続く

2015年8月6日 第4話「完全なる敗北。そこに現れた『お金持ち』」 はコメントを受け付けていません。 自分物語